Researches

リン脂質二分子膜への化学物質の影響

Influence of chemical compounds on lipid bilayer membranes

さまざまな化学物質のリン脂質二分子膜への影響を調べています。例えば、毒性の高いアセトニトリル分子はリン脂質二分子膜内に入り込むことにより、高濃度の場合は膜を破裂させたり、低濃度の場合はリン脂質二分子膜小胞の熱的揺らぎを大きくしたりすることが判明しました。

リン脂質二分子膜は、細胞膜の基本構造であることから、アセトニトリル分子が我々の細胞膜に対しても、同じように侵入してくることが示唆されました。

• Kazunari Yoshida* and Naofumi Fujiwara, “Numerical Estimation of Acetonitrile Adsorption into Simple Artificial Cell Membranes”, ChemistrySelect 6(48), 14013-14018 (2021).
• Kazunari Yoshida, Ryohei Mitsumori, Keitaro Horii, Akito Takashima, and Izumi Nishio, “Acetonitrile-Induced Destabilization in Liposomes”, Colloids Interfaces 2(1), 6 (2018).
• Kazunari Yoshida, Keitaro Horii, Yasuhiro Fujii, and Izumi Nishio, “Real-time observation of liposome bursting induced by acetonitrile”, ChemPhysChem 15(14), 2909–2912 (2014).

クサカゲロウの翅の光学特性

Optical properties of the green lacewing wings

クサカゲロウという昆虫の翅には、表面の微細構造により光の反射を防止する作用があります。その反射防止特性に関して研究を進めています。虫の翅には多くの機能があることから、このような研究を通して、新たなバイオミメティクス技術開発にもつなげたいと考えております。

• Kazunari Yoshida, Yuro Katsurashima, and Leona Takahashi, “Analysis of Surface Patterns and Electric Field Simulation of Antireflective Green Lacewing Wings”, Langmuir 38(10), 3098–3104 (2022).
• Kazunari Yoshida, Leona Takahashi, Akito Takashima, Yasuhiro Fujii, and Izumi Nishio, Langmuir 36(15), 4207-4213 (2020).

高強度ハイドロゲルの摩擦

Friction of high-strength hydrogels

高強度ハイドロゲルの一種であるダブルネットワーク(DN)ゲルの摩擦に関する研究を推進しております。これまでに電圧を印加することで摩擦が制御できる研究や、レーザー加工によって切断されたゲル表面の摩擦の研究を行ってきました。

• Kazunari Yoshida, Hikaru Yahagi, Masato Wada, Toshiki Kameyama, Masaru Kawakami, Hidemitsu Furukawa, and Koshi Adachi, “Enormously Low Frictional Surface on Tough Hydrogels Simply Created by Laser-Cutting Process”, Technologies 6, 82 (2018).
• Masato Wada, Kohei Yamada, Toshiki Kameyama, Naoya Yamada, Kazunari Yoshida, Azusa Saito, Masato Makino, Ajit Khosla, Masaru Kawakami, and Hidemitsu Furukawa, “Electric control of friction on surface of high-strength hydrogels”, Microsyst. Technol. 24, 639–646 (2018).

進行中&これから研究プロジェクト・研究助成プログラム等

Projects

• 科学研究費補助金 基盤研究(A)
  “時空間ダイナミクスを活用したソフトセンサによる生物知能的適応学習”
  課題番号：23H00498
  2023年度～2027年度 (研究代表者：細田耕).

終了したプロジェクト等

Previous projects

• (公財)日本化学研究会 化学研究連絡助成金
  “極性分子のリン脂質二分子膜に対する侵入現象の解明”
  2022年度～2023年度(研究代表者：吉田一也).


• 物質・デバイス領域共同研究拠点 クロスオーバー共同研究課題
  “有機エアロゾルのリン脂質二分子膜内への侵入挙動の解明と健康影響の評価”
  課題番号：20223014
  2022年度(研究代表者：吉田一也).


• (公財)山口育英奨学会 学術研究助成事業
  “単純細胞モデルにおける二種類の相分離現象のカップリング”
  2022年度(研究代表者：吉田一也).


• (公財)JKA 機械振興補助事業研究補助（個別研究）
  “摩擦可変ゲルへの低環境負荷多糖高分子の導入補助事業”
  2022年度 (研究代表者：吉田一也).
  [成果をまとめた広報用資料はこちらです。]


• (公財)フジシール財団 パッケージ研究助成事業
  “低環境負荷材料から構成される高強度ゲルの緩衝材への展開”
  2022年度 (研究代表者：吉田一也).


• 科学研究費補助金 基盤研究(A)
  “イオン液体・イオンゲルを用いた生物型ソフトセンサ開発と多感覚モダリティ学習”
  課題番号：19H01122
  2019年度～2022年度 (研究代表者：細田耕).


• 科学技術振興機構(JST) 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウト
  “摩擦可変で低環境負荷なソフトマター複合系から構成される汎用滑り軸受の開発”
  課題番号：JPMJTM20BB
  2020年度～2021年度.


• (公財)山形大学産業研究所 米沢市研究奨励補助金事業による研究助成
  “摩擦可変高分子ハイドロゲルのクランク機構への導入”
  2020年度.


• (公財)山形大学産業研究所 若手研究者の奨励研究助成
  “クランク機構への応用を見据えた高分子ハイドロゲルの電場による摩擦制御機構の研究”
  2019年度.